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JMPer's Meeting 2025~ 製造業における問題解決と多変量データの解析 ~

  • 執筆者の写真: akrhosojima
    akrhosojima
  • 4月4日
  • 読了時間: 5分



発表テーマ:グラフビルダーとデータフィルタを駆使した多変量データの解析


JMPを使い始めた最初の頃はあまりグラフビルダーを使いませんでしたが、最近では頻繁に活用しています。データを層別して可視化すると問題が明確になって関係者の行動を促すことができます。


パティション分析結果もグラフビルダーで可視化します。


層別に始まり、層別で終わる、グラフビルダーに始まり、グラフビルダーで終わる、とさえ思います。グラフビルダーでクレームデータなどの多変量データを分析するポイントは次の通りです。



・X軸の階層化、表示順序の設定、表示順序の固定機能を活用する

・グループYに年度や組織などを布置すると年度や組織による差異を可視化できる

・頁に客先や業者などを布置して1行あたりの水準数2~3にすると全体を鳥瞰できる

・不良数のグラフ形式は棒グラフよりもヒートマップが訴求力に優る

・帯グラフは見栄えは良いが異常や変化の発見には適さない

・注目するグラフの特定部分を調べる際はテーブル→サブセットを使う

・サブセットで「元のデータテーブルとリンク」すると変更が元のテーブルに反映される

・特定セグメントを選択しドリルダウンする際はデータフィルタをテーブル保存する

・フィルタのスクリプトをデータテーブルに保存して除外解除のうっかりミスを防ぐ

・「条件付き」データフィルタは表示カテゴリが制限されるため絞り込みが簡単になる

・よく使うフィルタはお気に入りに保存する

・列スイッチでグラフの変量を切替えると一つのグラフで多くのグラフを表示できる

・列スイッチによる想定外の組み合わせから気づきが生まれる

・スケールを固定してデータフィルタを使用するとグラフの変化が分かる




「JMPによる開発・生産・品証の業務改革」



「クレーム対応の根拠となる信頼性予測」


場クレームが発生すると、不良が将来さらに増えるのか、損出額はどのくらいかを正確に予測することが求められます。希望的観測は到底許されず、社内の上層部と顧客を納得させる数理的な予測と根拠が求められます。そこでJMPの信頼性予測は目を見張る威力を発揮します。

過去の生産データと不良データのテーブルを信頼性予測で分析することで故障モデルと故障率を予測し、将来の故障数を予測します。(たとえばYY年の故障数は100、信頼区間XX~YY)。故障モデルはWeibull、正規、指数、Fréchet、最大極値などの豊富なモデルが用意されており、最も適合する故障モデルと適合性を示す統計指標が示されます。

累積故障率グラフと故障リスクの時間推移を示すハザードグラフが役立ちます。前者は累積故障率がXX%になる時期を予測します。ハザードグラフは故障カーブ(初期、偶発、摩耗)と故障確率を明らかにします。

多くの装置故障は複数の原因で起きるので、ノイズ誤動作、ソフトウエアバグ、取り扱い不良、部品劣化など、原因別に不良データを分析すれば、固有の故障モデルと故障カーブが明らかになります。原因が特定できない市場不良は、故障カーブ(初期、偶発、摩耗)が判明すれば、原因究明のヒントになります。現実の故障は部分故障モデルが多く、これを通常の故障モデルで予測すると損出を過大に見積ることになります。







JMPによる原因究明


今日は生産現場の不良原因究明や歩留まり改善をパティション (Pat)分析やモデルのあてはめを用いて分析します。 生産現場のデータを入手して分析を手掛ける場合には、サンプルデータや本に載っているデータを分析する場合とくらべて全く違った難しさに直面します。


 第1に、データに含まれるデートコードやシリアル番号などを適切に処理する必要があります。シリアル番号を入れて分析するとこれが寄与率の高い要因になってしまうことがあります。デートコードも同様です。月・曜日・時刻などを抽出して分析することで、季節変動や経時変化を発見できることがあります。



 第2に、分布が重なっていたり対称でなく偏りがあったりします。後者の場合は適切な変換によって重回帰分析のあてはまりが良くなることがあります。



 第3に、現場データは往々にして非常に相関が強い因子が含まれていることがあります。そのまま重回帰分析を行うとあてはまりの悪さが有意になることがあります。多変量の相関によるスクリーニングが必要になります。



 適切な前処理を行ってもパティション分析のあてはまりが良くない(分岐が進まない)ことがあります。そういう場合はモデルのあてはめ(1次)を行います。パティション分析もモデルのあてはめ(1次)もあてはまりが良くない場合は、その交差(交互作用)をモデルに加えたあてはめ(2次)を行います。パティション分析で交互作用が明らかになった場合はその交差をモデルに加えます。多変量解析の前に必ず2変量の関係を確認しますが、2変量の関係で有意になった因子が多変量解析では有意にならないことは良くあります。逆もまた起こります。






J実験計画の問題解決


JMPを使わずに計画・実施された「独自」実験計画を目にすることがあります。たとえば加工や成形の条件だしで膨大な数の実験が行われ、交絡があるため主効果の推定が正しくできないことがあります。そういう場合はJMPの計画の診断で交絡状況を可視化し、決定的スクリーニング計画(DSD)やカスタム計画を使うように指導します。数十回の独自実験で得られるモデルがわずか十数回の実験で得られることを示すと説得力があります。実験実施に先立って実験計画の事前レビューを行わないと、こうした実験の無駄が生じます。


 JMPを使って計画された実験でも実務的な問題に直面することがあります。たとえば条件だしの実験で計画通りの水準のサンプルがどうしても手に入らないことがあります。そういう場合は「計画の診断」を行い、当初計画と修正計画で交絡状態や検出力の差異を確認し判断します。また実験を実施して欠測値が生じることもあります。欠測値のまま解析する方法、全平均値を入れる方法などがあります。’Design of Experiment’: Modern Approachの事例を使って、欠測値処理方法による予測値の違いを確かめます。


 欠測値が生じた実験を拡張計画でリカバーする方法がビデオ`How Do I Repair a Broken Experimental Design? ’ で紹介されています。最後にDiscovery Summit 2020で説明しきれなかった点をお話しします。DSDから拡張計画を実施する手順、 DSDあてはめのステージでのp値調整法などです。




 
 
 

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